でんぱ組 は今一度"どん底"に落ちるべき
エビ中が初のベストアルバム(新体制での)を発売する日から約一か月後、
同じく でんぱ組も初のベストアルバムを発売します。
エビ中のアルバムが全2形態で1枚当たり2700円なのに対し、
でんぱ組は、通常版がCD3枚組で3000円なのでコスパに関しては圧倒的に上です。笑
同じサブカルアイドル界隈で争う両者。
雑誌『IDOL and Read』の表紙の刊行も現在2対2で並んでいます。(特集では でんぱ組メンバーは全員取り上げられていますが、主に地下アイドルを門徒としている雑誌なので仕方がない)
ベストアルバムの発売自体にそこまで深い意味はないとしても、両者にとってある種の節目となることは確かでしょう。
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グループとしての全国各地でのライブやフェスへの出演のみならず、文化系の最たる武器である器用さや多彩さを生かし、個々での番組やイベントへの出演もこなす「でんぱ組.inc」。
アダルトゲームの挿入歌を歌っていた頃からは到底考えられないぐらいに(褒めてるよ)、今ではアイドル界の中心的存在となっています。まさしく今、人気絶頂と言えるでしょう。
そんな でんぱ組なのですが、
最近いつも、朝のニュースなどでその様子を華やかに取り上げられているのを目にするたびに思うことがあるんです...。
今一度 ”どん底”に落ちるべきでは...?
言葉足らずなので 少しだけ補足をしておくと、
でんぱ組は、そのメンバーのほぼ全員が 過去にいじめや引きこもり、進路的な挫折など何かしらのしんどい経験をしているグループなのです。
「周りにチヤホヤされて、何一つ不自由ないキラキラした人生を歩んできたんだろうなぁ...」というアイドルが多く見られる中(大半はこっちサイドな気がする)、一方で鬱々とした まさに”人生のどん底”をそれぞれの形で歩んできた6人が結集したグループが、でんぱ組なのです。
そんなメンバーの”どん底”の過去を(まぁ程よくネタにしつつ)歌にしたのがこの『WWD』という曲です。(※割と話題になったので見たことがある人が大半だと思いますが一応紹介しておきます。)
前山田健一さん 作詞/作曲です。前山田さんは大概な曲もいっぱい出すけど、ここぞという時に最高の曲を提供してくれるから、やっぱり信頼できるし大好きです。
ちなみにこの続編的な扱いの『WWDⅡ』というのもあります。同趣旨の曲ですが、Ⅱではアイドルになってからの苦悩や葛藤を歌にしています。
『WWD』の歌詞に「マイナスからのスタート、なめんな!」とあるように、
人気絶頂に見える今の でんぱ組の背骨を形成しているのは、過去の様々な辛い経験から必死に這い上がってきた反骨精神なのです。
臭い話をするようですが、
このバックヤードに魅せられた ぼくを含めるオタクは、”どん底”から這い上がるでんぱ組が、最高の景色・アイドル界の頂点を見られる日を強く望んでいました。
そのため、
『WWD』で話題を作って世間をバズらせた時...、
”世間にウケる 萌えキュンソング”という、萌えキュンソングのある種の完成形である『でんでんぱっしょん』がリリースされた時...、
これまで励まされる側の存在であったはずのでんぱ組が「君の未来を明るく照らすなんて お茶の子さいさい」と、遂に多くの人の背中を 逆に後押しする存在へと成長したことを示した、”どん底”からの脱却と言える『サクラあっぱれーしょん』の発表...、
いずれも心の底から嬉しかったし、何より「おぉ…!遂にこれは来たんじゃないか…!?」といった半端ないワクワク感がありました。その流れからの念願の武道館。
その武道館での夢眠ねむの言葉、
『みなさん一人一人が私たちをここまで連れてきたという自覚はありますか?』
地下アイドルから始まったでんぱ組を押し上げ(もちろん実力ありきですよ)、
芸能的な成功のシンボル、つまり頂点である武道館での公演へと導いたファンへのアンサーソング的な意味合いも『サクラあっぱれーしょん』にはあったのではないでしょうか。
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「昔はよかった~」というような懐古的な発言になってしまう部分は否めないのですが、
少し前のでんぱ組の楽曲には、
そのように曲のみで終わらない、曲の背後の 物語的な・コンテクスト的な面白さがありました。
今のでんぱ組の楽曲からは、その面白さが全く全く感じられない。だからつまらない。ただただ惰性で出しているよう。
曲のクオリティが下がっているわけではありません。最近でも『アキハバライフ』はMVも含めて良曲でした。
「萌キュンソングを世界にお届け♡ とか言っておきながら、最近J-POPしか歌ってないやんけ!」...という批判ができれば話は早いのですが、
最も最新のMVとして上がっている「STAR☆ットしちゃうぜ春だしね」しかり、萌えキュンソング自体はしっかりと打ち出しはしています。そこが他アイドルとの差異化を図る武器でもあるのでブレてはいません。
(※「萌えキュンソング」とは、「なんのメッセージ性も意味もないめちゃくちゃな歌詞だけど、頭に残る中毒性のある曲」とぼくは認識しています。)
人気が高いところで安定し、NEXTブレイク枠に入れられていた当時のような 波風が立ちにくくなっていることは確かです。
自分がひっそりと応援していたインディーズのバンドがメジャーデビューし、急に世間から広く注目されるようになったことでファンを辞めてしまうように、
今の 人気になってしまった現状を忌み嫌っているわけではありません。
でんぱ組はそこらの一発屋歌手とは異なり、歌だけでは終わらない、その器用で多彩な能力を生かすことのできるグループであるので、むしろ売れてからが本当の勝負のようなところもあります。
( ↑ それぞれの得意分野がまとめてある良い記事がありました。)
しかし 楽曲に関して言えば、
ブレイクから2年経った今のでんぱ組は、早くも限界を迎えているとぼくは思います。
今からでんぱ組を追うファンにとってはぼくの言うような楽曲の物語性云々の話は、正直どうでもいいように思われることでしょう。
古参が偉いといっているわけではありません。こんな面倒なことを考えずに純粋に曲を楽しめることが最も良いんです。
武道館以前を第一期、今を含めたそれ以降を第二期として分けるとすると、
少なくとも 第一期からでんぱ組の動向を追っているファンからしてみれば、今のでんぱ組からは『WWD』や『サクラあっぱれーしょん』のリリース時のように心を揺れ動かされる新鮮な感動は、得られていないのではないでしょうか。
夢眠ねむが「本当は武道館解散がベストだった。」と述べているように、
ぼくはあれ以上の感動のニューレコードを叩き出すことなく解散してしまうことが何より怖いんです。
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反骨精神あってのでんぱ組。
あの頃の熱気を取り戻すには やはり今一度”どん底”に落ちるしかないと思うんです。
ベッキーやファンキー加藤など、元々絶大な人気を誇っていた人が一度の過ちで世間からの好感度をガタ落ちさせてしまったように、人気というのは落ちる時は一瞬であると思います。
方法こそは提示しませんが、
でんぱ組はここいらで一度、それらの残念な方々のように 好感度をガタ落ちさせるような事件を起こすとします。
そして...、
「もともと私たち、マイナスからのスタートだったのでこれぐらい平気です!」...と打ち出される『WWDⅢ』
AKBの楽曲がオリコン1位を取っても、ファン以外の人は「またか」と特に注目しようとしないように、安定しているものはそもそもあまり話題にはならないし印象にも残り難いのは確かです。
AKBの場合なら、オリコンTOP 5入りできなかった時の方が話題になるのではないでしょうか。極端な話、「新曲5曲連続オリコンTOP 10入りできず、渾身の6曲目で1位に返り咲いた」とかの方がよっぽど話題になるし、聴いてみようという気にもなるでしょう。
『WWDⅢ』の発表によって世間はバズります。
”原点回帰”的なスローガンを掲げたでんぱ組は、注目を集めに集めたところで、立て続けに新曲をリリース。楽曲としての良さが再認識されたでんぱ組。
以前の地位よりも もっと高い地位へと上り詰め、人気が絶頂のところで突然 武道館での解散ライブを発表。
伝説のアイドルとして人々の記憶に深く刻まれることでしょう。...という妄想。笑
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